13th定演 第1部 解説

1.リスト 『12の練習曲』 から 「第9番」(回想)
この曲集は15歳のリストがすべての長短調のための48の練習曲として作ろうとしたもので、四半世紀後にツェルニーに献呈された『超絶技巧練習曲』の初稿になりました。ショパンの『24の前奏曲』とは逆に、2曲ごとにフラットが一つずつ増えていきます。
♪ペトロフ 初めてのリストということで、「早い」(曲が短め)「安い」(比較的容易)「旨い」(上手く弾ければ美しい)曲として選びました。盛れるだけ盛った超絶版とは違ってシンプルですが、「回想」が「改装!」や「海藻?」にならないように、美しく弾きたいものです。

2.ショパン 「ワルツ 第10番」「ワルツ 第14番」
第10番を作曲した頃、ワルシャワ音楽院の歌姫に初めての恋をしていた彼は19歳でした。流れるような主部に対して、中間部ではマズルの要素が顔を出します。第14番は歯切れ良く技巧的な主部と貴族的で華やかな中間部トリオが好対照で、力強いコーダも見事です。
♪ガワエ 普段、ノクターンを弾くことが多いのですが、久々にワルツを2曲演奏します。10番は哀愁を漂わせつつ場面毎に変化が表れるような演奏をしたいです。14番は最後のコーダがいい形で締めくくれるよう頑張りたいです。

3.モーツァルト 「四手のためのソナタ K.381」
イタリア風のシンフォニアを四手に編んだような曲で、16歳の彼が姉のナンネルと演奏するために作曲したと考えられています。彼女の才能は弟の陰に隠れてしまいましたが、彼は姉の才能を尊敬していました。二人で演奏している肖像画も残っています。
♪ムクピ モーツァルトの4手用ソナタを全て弾くことがムクピの目標です。今回は、要求技量の割に演奏効果が高く、時間制限に全楽章が収まる曲として、KV 19dに続く第2作目とされるKV 381を選びました。

4.ブラームス 『6つの小品』 から 「第2番」
この曲集はシューマンの妻クララに献呈されました。懐かしさを感じさせる第1部では、何度も確かめるように様々なコード進行で、同じモチーフのメロディーが現れ、中間部では、短調でメランコリックに、長調で内面的に、かつての思いが奏でられます。
♪ともこ 日記を書いているような。手紙を書いているような。ずっと胸にある思いを打ち明けているような。人が生きてきた時間が見えるところに惹かれて選曲しました。まだまだですが、今の自分の等身大で弾けたらいいです。

5.ショパン 「ワルツ 第8番」
「第6番」(子犬のワルツ)を含む生前最後に出版された3つのワルツの1曲です。3拍目が次の小節へ繋がったメロディーで始まり、多くの転調を通じて色々な表情を見せます。彼が好んだチェロを思わせる中間部の左手のメロディーは、カンタービレの魅力を醸し出します。
♪ヒム ワルツらしい華やかな感じが気に入って、選びました。明るい輝きに満ちた曲ですが、目まぐるしく転調するたびにふとよぎる影、喜びの中に潜む悲しみ、そんなショパンの心の思いがあるようにも感じています。

6.後藤丹 「大きな古時計によるバラード」
日本でも広く親しまれている原曲を歌詞に沿って、主人公の一生におけるいくつかの情景を描写しています。音楽の流れの中に時計が秒を刻む音、結婚行進曲の断片、夫婦の会話、ダンス、主人公の死を暗示する、鐘の響きなどを聴くことができます。
♪とっと アメリカで作詞作曲された「大きな古時計」は日本でも広く親しまれて来ました。このピアノ曲では、歌詞に沿って主人公が歩んだ一生を回想するシーンがドラマチックに描写されています。

7.チャイコフスキー 『四季 12の性格的描写』 から 「6月」(舟歌)
穏やかに揺れる伴奏は波の隠喩で、揺れる小舟から見上げた、夏の星空がロマンティックに歌われます。この曲集では各々の小品に詩が引用されています。「岸辺に出よう。僕らの足に波はくちづけ、秘めやかな、憂いの星が、僕らの上に光るだろう。」
♪ポッポ シンプルなメロディを美しく歌うのに試行錯誤しました。月あかりに照らされた湖のさざなみや色合いを表現できるように弾きたいです。

8.ショパン 『24の前奏曲』 から 「第17番」「第22番」
スクリャービン 『12の練習曲』 から 「第11番」
無言歌風の幸せな気分に満ちた第17番、激しい左手のオクターブと右手のシンコペーションが印象的な第22番、メランコリックなメロディーの第11番は、冬のロシアを連想させます。
♪さくら スクリャービンの哀歌とショパンのプレリュード17番は、とても叙情的で素敵なメロディーです。美しい音色で皆さんにお届けできたら幸いです。

9.ドビュッシー 『映像 第1集』 から 「水の反映」
1905年に交響詩『海』で印象主義的な書法を確立した彼は、この曲集でさらに独創的な境地を開きました。ラヴェルの『水の戯れ』に影響を受けたといわれ、さらに詩的で絵画的な要素が強く、散りばめられた繊細なパッセージが見事な光と影を生み出します。
♪いもいも 気候も暖かくなってきたこれからの季節にぴったりの曲だと思って選びました。
難しいですが、目をつぶって聴いた時に水の色彩、輝き、うねり、など想像できるように演奏したいものです。

10.ブラームス 『8つの小品』 から 「第7番」「第8番」
この曲集は彼の後期作品の出発点とみなせます。1曲目のカプリッチョは冒頭の主題の和音が重々しく、この主題が曲の終わりにも用いられています。2曲目のインテルメッツォはアルペジオと幅広い音域が用いられ、第4番よりもさらに華やかな一曲です。
♪きよっぴ ブラームスが40代の頃に作曲した『8つの小品』、晩年に作曲したものに比べると表現がストレートに感じます。今回は最後の2曲を演奏します。

11.ショパン 「バラード 第2番」
シューマンから献呈された「クライスレリアーナ」に、彼はこの曲で答えました。波一つない静かな湖面と、嵐のごとく荒れる湖面の対比。戦いの火や煙が見えたり、女性の祈りが聞こえるという、深い森の中にある、美しい謎の湖を描いた詩から、インスピレーションを得たといわれています。
♪すぷらうと 私がショパンのバラード第2番に出会ったのは、ちょうど10年前でした。10年の時を経て、自分自身も成長(老化?)し、また違う景色が見えてきたように思います。今日は技術的なことよりも、お腹の子供と一緒に演奏出来る喜びを味わいながら演奏したいと思います。

12.リスト 『巡礼の年』(第2年補遺) から 「第1曲」(ゴンドラを漕ぐ女)
この曲集は彼がヴェネツィアとナポリで耳にしたメロディーからインスピレーションを受けたと考えられています。主題はペルチーニの「小さなゴンドラ上のブロンド娘」で、波や光が様々に表情を変えていくように軽やかで明るい曲です。
♪masumi この素敵なホールでまた演奏させて頂けることがとても嬉しいです❤︎本日演奏する曲は、繊細ながらキラキラと輝く明るさがあるところに惹かれて選曲しました。響きを味わいながら演奏できたらいいなと思います。

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