11th定演 第1部 解説

1.グラナドス 『ロマンティックな情景』 から 「第6曲」(エピローグ)
30代半ば頃の20世紀初頭に作曲されたと考えられているこの曲集は、マリア・オリベロという女性に捧げられました。6つの小品から構成されていて、「詩的な高揚感と共に」と指示されています。右手の甘く美しいメロディーと、それを支える左手のアルペジオというわかりやすいテクスチュアで書かれています。

2-1.ショパン 『練習曲 作品10』 から 「第5番」(黒鍵)
どこか東洋的に響く1曲目では、右手の殆どが黒鍵で、白鍵を弾くのは66小節目の和音の一音だけです。
2-2.ショパン 『アンダンテ・スピアナートと・華麗なる大ポロネーズ』から「アンダンテ・スピアナート」
「スピアナート」はイタリア語で「滑らか」の意味で、左手のアルペジオに乗って、装飾音に彩られた右手のメロディーが流れていきます。

3.ブラームス 『2つのラプソディー』 から 「第1番」
堂々と力強く始まり、跳躍が多く、低音域から高音域まで幅広く用いられているこの曲は、ブラームスの友人達から「天空を駆け巡る若きヨハネス」と称されたという逸話もあるように、激しく情感を沸き立たせる作品です。それとは対照的なピアニッシモで奏される単旋律のなめらかな主題も登場します。

4.シャブリエ 『3つのロマンティックなワルツ』 から 「第1曲」
シャブリエの前半生はサラリーマンで、作曲家としての活動は14年と短く、作品数も限られていますが、狂詩曲『スペイン』などからは独特のリズムに加え、闊達さとユーモアが感じられます。彼の本領が最も発揮されたのがピアノ音楽で、フォーレとともに、次世代のドビュッシーやラヴェルへの橋渡しをしました。

5.シューベルト 『即興曲集 作品142』 から 「第4番」
シューマンが指摘したように、この曲集は4楽章のソナタのようです。ヘ短調の第1番、緩徐楽章の第2番、変奏曲の第3番、そしてフィナーレの第4番です。彼自身は4曲セットにこだわった形跡はありません。第4番はからかうような軽快なリズムで始まり、そうした雰囲気とは対照的な中間部は、大きくうねる音階が即興的に流れます。

6.バッハ 『フランス組曲 第6番』 から 「アルマンド、サラバンド、ガヴォット、ポロネーズ、ジーグ」
第6番は『アンナ・マグダレーナのための音楽帖』に含まれないため、最後に別個に成立したと考えられ、色々な筆写譜が存在しています。彼がどの配列を意図したかは明らかになっていません。最後に成立したためか円熟味を増し、均整の取れた形式と明徴な書法でありながら、豊かな音楽です。

7.チャイコフスキー 『四季(12の性格的描写)』 から 「11月」(トロイカ)
月刊誌に連載されたこの曲集は、12ヶ月に対応した小品から成ります。季節の自然のみならず、民衆の生活をも生き生きと描写したユニークな作品で、祖国ロシアの自然と人々を見つめる、彼の温かな眼差しが常に息づいています。一面の銀世界となった広大なロシアの雪原を、トロイカが颯爽と駆け抜けます。

8.ブラームス 『6つの小品』 から 「第2曲」
この曲集はクララ・シューマンに献呈されました。若かった自分を懐かしむような、穏やかな哀愁に満ちたメロディーが心に深く残ります。懐かしさを感じさせる第1部では、何度も確かめるように様々なコード進行で、同じモチーフのメロディーが表れ、中間部では、短調でメランコリックに、長調で内面的に、かつての思いが奏でられます。

9.ファリャ 「セレナータ・アンダルーサ」
「火祭りの踊り」で有名なバレエ音楽『恋は魔術師』や、『三角帽子』などで知られる彼は、スペインの紙幣に肖像が使われたほどの国民的作曲家です。スペイン民族主義と印象主義を融合させ、リムスキー=コルサコフの交響的色彩の影響を受けています。彼自身がピアニストで、「カンシオン」や「ノクターン」などの、美しい小品も残しています。

10.ショパン 「ワルツ 第2番」(華麗なる円舞曲)
舞踏会の始まりを告げるかのような16小節の序奏から、5つの主題が現れるポプリです。全体はそれらが組み合わされ、大きく6つにほぼシンメトリックに分かれ、コーダがおかれています。優雅、華麗、感傷的…と次々と姿を変えていくワルツ、コーダから途切れてゆく旋律、そして高らかな二つの和音と、一夜の物語の様な華やかさです。

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